現役アニメーター向け

アニメーターの仕事効率を上げる方法

私がアニメーター(原画マン)だった頃に行っていた、効率よく仕事をする方法を説明します。

「いつも締め切り直前にまとめてあげてしまう」

「仕事の完成度がモノによってバラつきが出る」

という悩みを持った人への方法です。

参考にしてみてください。

今回紹介する方法はアニメーター以外の仕事でも応用が可能ですが、

今回の記事は原画マンに向けて書いているので、アニメ業界の用語が多々使われています。

①10分で原図を描く

10分タイマーをセット

作打ちが終わり、設定が手元にあれば作業開始です。

まずタイマーを10分にセットし、

大ラフでいいので原図を10分間で可能な限り描きます。

(必ずしも10分である必要はありませんが、なるべく短い時間ほど良いです)

 

ここで大事なのは「カット内容を把握すること」であり、

決して「上手い絵を描くこと」ではありません。

 

絵描きは本能的に上手い(納得のいく)絵を描きたがるので、

意識的にラフで描く必要があります。

10分経ったら強制的に次カットへ

たとえまだ前カットを描いている途中でも、

タイマーが鳴ったら強制的に次カットを描き始めます。

 

最初は全く描けずに次のカットへ移ることになるでしょうが、

次第に「10分で1枚の原図を描くのに必要なスピード、ラフさ」がわかってきます。

手持ちカット全て行う

①を作業開始からから1~2日で全て終わらせるのが理想です。

できれば1日で終わらせましょう。

 

手持ちが20カットなら3時間弱。

手持ちが30カットでも5時間で終わります。

休憩時間を考えても基本的に1日で終わるはずです。

②描いた原図から情報を引き出す

問題点をあぶりだす

手持ちのカットに一通り手をつける事で、様々な発見があります。

 

・設定の不備に気付ける。

原図を描く場合、設定を確認しながら描くことになります。

そうすると「必要な設定が無い」ということや、

「持っている設定が間違っている」ということに気付けます。

 

これに気付くのは早いほど良いです。

締め切り直前に気付き、制作さんに連絡しても連絡がつかないかもしれないし、

間に合わないかもしれません。

 

「設定の不備になるべく早めに気付き、必要な設定を全て手元に置いておくこと」

は、仕事効率においてとっても大事です。

 

 

・コンテの矛盾に気付ける。

コンテは必ずしも正しいものではありません。

コンテを描く人によってもその質は大きく変わります。

なので「このコンテはどこまでくみ取り、どこを無視し、どこを変えるか」

ということを考えてレイアウトを描く必要があります。

これを短時間で把握する練習にもなります。

 

経験を積めば一目でコンテ内容を把握できるようになるでしょうが、

経験の浅い内は実際に作業を進めるのが一番です。

1日の必須作業量を割り出す

手持ちのカットすべてに手をつけることで、

各カットの重さ(作業時間)を把握することができます。

 

私はアニメーター初期の頃に『毎日必ず○カット上げる』

という目標を掲げていました。

 

しかし、原画はカットによって作業にかかる時間が全く異なります。

なので例えば「毎日5カット上げる」というのは無理な話で、

重たいカットは1日1カットしか上がらないし、

簡単なカットは1日で10カット上がります。

 

つまり、重要なのは

「今日何カット上げ、明日は何カット上げればいいのか」把握することです。

 

例えばc1~c5は軽いカットなので初日に終わらせ、

c6は重たいので2日目を丸々使い、

3日目はc7~c9をやる。

というように、各カットの重さを把握し、

各日に何カットすれば良いかを計画するのです。

 

ちなみに、

「想定通りにいかない」ことを前提にスケジュールを組むことが大事です。

急なケガ、病気、用事もいつ起こるか解らず、

「何も起こらなくても想定通りに上がりは出ない」というのが普通です。

 

なので締め切りぴったりにスケジュールを組まず、

締め切りの2~3日前には上げ切るようにスケジュールを組みましょう。

 

②の作業は1日以内に終わらせます。

そんなに時間はかからないので早めに終わらせた方がいいです。

 

私にとってはこれを終えてからがレイアウト作業の始まりです。

①と②で3日程かかるかもしれませんが、その後の効率を考えればその価値はあります。

③レイアウト作業(第一原画)

60分タイマーをセット

今度はタイマーを60分にセットし、

②で想定した「1日に上げるカット数」の原図を用意して、作業開始します。

 

ここでも最初からクオリティを意識しすぎず、

まずは大まかな動きや作ったりシートをざっくり付ける程度から始めます。

 

ちなみにタイマーの時間は個人差があると思いますが、

私の場合は「集中力が60分くらいしか持たない」という点と、

「60分に1度はイスから立ち上がり体を動かさないと足、腰に悪い」という点から、

タイマーを60分にしました。

 

私は長時間イスに座っていたせいで足を痛めたことがあるので、

頻繁に席を立ち、足の運動を行うようになりました。

運動不足は仕事以前の問題になるので、積極的に休憩を取り体を動かしましょう。

60分経ったら強制的に次のカットへ

①と同様で、タイマーが鳴ったら次カットへ移ります。

ただ、60分に1回は10分ほど休憩を挟んだ方が良いです。

 

学校の授業などもそうだったと思いますが、

授業1つは1時間前後であり、授業間には休み時間があります。

そのシステムに体が慣れているということもありますが、

休憩を定期的にとったほうが効率が上がる、というのが私の経験則です。

これを1日の中で繰り返す

②で想定した「1日に上げるカット数」が上がるまで繰り返します。

 

なぜ1カットづつ上げていかないかというと、

これもやはりアニメーター(絵描き)のクオリティに対するこだわりが理由です。

 

「1カットが終わってから次のカットへ」という方法をとると、

ついついクオリティの高い仕上がりにしたくなってしまい、

ダラダラと時間を使ってしまいがちです。

 

「クオリティを上げるためには時間がかかって当たり前だ」

ということはクリエイターにとって常識です。

しかしアニメーターは1つ1つの仕事報酬が少ないため、スピードが求められます。

 

なのでアニメーターはクリエイティブな仕事でありながら、

効率よく働かなければなりません。

そのために、『こだわり』に自主的締め切りを作るのです。

④原画作業(第2原画)

やることは基本的に③と同じですが、

2原は1原ほど頭を使わないのでやや長めにタイマーをセットします。

 

私は3時間にタイマーをセットしていました。

そしてよほど重たいカットでなければ、

「3時間以内に1カット終わらせる」という課題を自分に課していました。

(ただし、60分ごとに休憩、軽い運動は入れます)

 

どんな仕事であっても、いきあたりばったりで行うよりも、

やる量、時間を自分で定めた方が圧倒的に効率も成果も上がります。



⑤休憩方法

気を付けてほしいことがあります。

定期的に休憩をとった方がいいのですが、机での居眠りはやめましょう。

これは疲れが取れないどころか、非常に体に悪いです。

 

眠いときは寝る。

これは大事ですが、ちゃんと横になって寝ましょう。

それが無理な環境ならば、仕事中に眠くならないように夜に睡眠をたっぷり取りましょう。

「睡眠不足」は仕事において効率が悪くなる大きな原因になります。

 

なので、徹夜は特にやめましょう。

徹夜は作業効率を大きく落とします。

徹夜をしない方が最終的に作業量が多く、作業スピードもあがります。

最後に

 

私はこの方法にしてから効率は上がり、仕事の上がりは早くなり、

ミスが減り、クオリティのムラがなくなり、疲労度は下がりました。

いいことづくめです。

 

デメリットがあるとすれば、短時間で複数のカットのことを考えなければならないので、

「1つのことに熱中して完成させたい人」には向かないということです。

 

賃金の低いアニメーターにとって、「効率」はとても大事です。

仕事の構造がそもそも効率が悪いので、

仕事の取組み方を少しでも効率良く行うことが大事になります。

 

私が行っていた方法もそれ以外の方法もいろいろ試し、

あなたにとって最適な方法を探してみてください。

 

余談

 

私のオススメ仕事方法を説明しましたが、

「こんなにも素晴らしい仕事方法を発明したぞ」というつもりはありません。

むしろよくあるやり方だと思います。

 

ただ、アニメの仕事というのはどんな方法でやっても疲労が激しいので、

効率が良いのか悪いのか判断がつきにくいものです。

 

そんな中、「これは効率がいいぞ」と思えることがあったのです。

実はこの方法の発見は、ゲームでの体験が元になっています。

モンスターハンターというゲームをやった時に、

「30分のクエスト」と

「50分のクエスト」で、

自分のプレイ内容や結果が全く異なることに気付きました。

 

50分の方では「まだ時間はあるからあせらず確実に行こう」と考え、

寄り道や無駄な行動が増え、結局は時間切れになることがよくありました。

 

しかし30分では「少しも無駄なことはできない」と思ってプレイするので、

行動は機敏で効率よくなり、時間以内にクリアできる率が上がったのです。

 

これは仕事にも活かせるのではないかと思い、

今回説明した仕事方法を考え、実践してみたところ上手くいった。

というのがきっかけでした。

 

「遊びは仕事の役に立つ」ことを身をもって知れた出来事です。

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元アニメーターの経験を元に『アニメーターになる前に知っておくべきこと』を伝えます。