アニメーターに限らず、人は誰かから「指導」や「答え」を求めます。
経験者による前例や指針、参考がないと不安だと思います。
しかし、誰かを信用する時は注意すべきことがあります。
私がアニメ業界で感じた危険性、注意点をまとめました。
画力と人格を同一視しない
アニメーターは実力主義のため、年齢や地位に関わらず、作画技術の高い人が優遇されます。
なので、
アニメーターは、自分より絵の上手い人の話しか聞かない傾向にあります。
憧れのアニメーターや、そばにいる絵の上手い人の話は聞くけれど、
自分より下手だと思った人の言う事は価値がないと思いがちです。
これはとても悲しく、危険なことです。
何故かというと
アニメーターの画力と人格は同一ではないからです。
アニメーターに大切なのは画力だけではありません。
人と会話する能力、思考する能力、その他にも絵以外の能力がたくさん求められます。
なのに「絵が上手い人」というだけで神格化し、妄信してしまうと、その人の言ってることは全て正しいと考えてしまいます。
「他人を妄信すること」は「自分で考えること」を奪います。
仮に指導者が優秀な人であっても、教わる事だけ行い、考えることを放棄してしまった人に成長はありません。
ましてや指導に問題のある人の場合は最悪です。
成長しないどころか精神を破壊される可能性もあります。
もちろん絵も上手く、素晴らしい人格者のアニメーターもいますが、
「絵が凄く上手いけれど人格に問題がある」、という人はたくさんいます。
そんな人からは「絵のみ」を参考にすればいいのですが、出来ればすぐに距離を取るべきです。
「人格が合わない人」はそばにいるだけで心に悪影響で、自身の絵にも影響します。
心が健康であることが、絵の修練の効率にも影響します。
念のため補足すると、
下手な人の話を聞けという意味ではありません。
上手い人の言う事を妄信してはいけない、ということです。

参考にすべき人はアニメーターだけとは限らない
憧れの人、参考にしたい人を持つことはとても重要で、絵の上達に大きく影響を与えます。
だからこそ、誰を参考にするのかは大事です。
作画だけに関して言えば、「自分の好きな絵」「描きたい絵」を参考にすれば大丈夫です。
しかしそれ以上に私が大事だと思っていることは、
「生きかた」「考え方」を参考にする人を見定めることです。
もちろん必ずしも誰かを参考にしなくても良いので、「参考が欲しい!」という場合の話です。
これに関しては対象がアニメーターである必要は全くありません。
「この人の生き方に憧れる」「この人の考え方や価値観は自分に近い」
という人がいることで、
万が一絵が描けなくなったり、アニメーターを辞めたりした時も自分の指針となり、
自分の考え方を見失わずにすみます。
人は考えや行動も変化していくので、すでに亡くなっている人や過去の偉人などでも大丈夫です。
なので本来は「人」よりも「考え方」を参考にしたほうが良いです。
出会いは縁も影響するので、たくさん本を読んで「好きな考え方の人」を探すのも良いかもしれません。

誰も自分の人生に責任をとってくれない
という主張の人もいるかと思います。
特に絵の上手い人、業界歴の長い人に多いです。
しかし、一生アニメーターとして生きていくのは難しく、作画のことだけ考えていてはいつか生活が破綻します。
しかしその時、「頑張って続けろ」と言う人も「辞めろ」と言う人も責任はとってくれません。
そもそも、詐欺でないぎり誰に何を言おうと、その人は責任をとる必要はないのです。
それを聞き、判断し、実行した本人の責任になります。
場合によっては騙すつもりで近づいてくる人間もいます。
だからこそ、人の発言に簡単に惑わされず、
何を信じ、何を疑うか、自分で判断する心構えが常に必要なのです。
もちろんここでの私の発言も同様です。
私の発言も、信用できる部分は信用し、信用できなければ妄信してはいけません。
参考にすべき人
私の考える参考にすべき人物像は、
画力などの技術(才能)だけでたまたま生き残った人ではなく、生き残るために常に計画的に行動している人です。
常に自分なりの計画や、考え、目的、野心のために行動してる人は強く、そしてブレません。
もし誰かを参考にするときは、「この人の言う事なら間違いない!」と妄信してはいけません。
時に疑い、時に自問し、参考になりそうだなという部分だけを利用する。
そのくらいがちょうど良いと思います。
無理に自分にとっての神様を作る必要は無く、
自分が参考にしたい事柄に合わせて、参考にする人を変えることが大切です。
対象を無理に一人に絞る必要は無く、多くの人や価値観から、自分に合った事柄を学びましょう。


