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メンタルトレーニングに学ぶ、「指導者が叱ること」の無意味さ

叱ることに効果や意味はあるのか?

漫画「おおきく振りかぶって」28巻のメンタルトレーニングのシーンにてその点の解説があり、引用してあります。

そこから学べることは野球だけではなく、私の経験したアニメ現場でもそうですし、

様々な状況で応用できるので紹介します。

スポーツ科学野球漫画、「おおきく振りかぶって」

どんな漫画なのかざっと内容を説明すると、

「高校1年生10人しかいない野球部を、女性監督が率いて甲子園を目指す」

という、一見すると王道的なスポーツ漫画です。

 

実際には

「監督、コーチがスポーツ科学などを理論的に用いて指導し、球児たちが効率的に努力し心身共に成長していく」

という内容です。

スポ根(スポーツ根性)ではなくスポーツ科学的な、めずらしい野球漫画です。

 

心、技、体、大事なのは心

漫画内でメンタルコーチが、球児たちに尋ねます。

コーチ
コーチ
心、技、体、で最も重要なものは何だと思う?

球児
球児
心だと思います

コーチ
コーチ
じゃあ心のトレーニングを何かやっているか?

球児
球児
・・・

コーチ
コーチ

技、体の練習は毎日やっているのに、一番大事だと思っている心の練習はしていない。

何故か?練習方法を知らないからだよな、だから勉強しよう!

 

こうしてメンタルトレーニングが始まります。

指導者も心の鍛え方を知らない

スポーツに限らず心、技、体は大事です。

しかし多くの指導者は「心」の鍛え方を指導しません。

というより、指導者さえも「心を鍛える方法がある」という概念が無いのです。

 

メンタルトレーニングの概念のない指導者ほど根性論を好みますが、

それこそが逆に、メンタルの弱い生徒を生んでしまいます。

 

「生徒、新人、若手のメンタルが弱い!」と組織内で叫ばれているとき、

指導者はメンタルの指導もしているでしょうか?

 

技術は教える。

メンタルは自己責任。

という現場がほとんどだと思います。

 

メンタルを計画的に鍛えた人が指導者になったのではありません。

多くの場合は

たまたまメンタルが強くて、何も考えず生き残っただけの人が、

「自分がそうだったから」という根性論で後輩を指導しています。

 

こういう人を指導する側に置いてしまうと、

理屈や根拠の存在ない教育現場になってしまいます。

 

心はなぜ重要か?

漫画中に野球部監督と、その父(甲子園経験者)とのこんな会話があります。

父
昔は、気合や精神力は追い込むことで身につくと思われていたんだ

監督
監督
つかないの?

父
つくよ。凄く前向きで、追い込まれるのが好きで、監督のことを信頼している選手なら

監督
監督
・・・

父
でもこれは選手も監督も大変な方法なんだ

 

今なお、最前線で活躍しているベテランの選手や職人は、

このパターンだったか、もしくは個人的にメンタルのトレーニングを行っていたかだと思います。

 

しかし多くの現場では、追い込まれた人はだいたい潰れてしまうのです。

 

「体と技術を鍛えてさえあれば、どんな不測の事態にも対応できる」

と考えている人は多いですが、

「自分の心が壊れる」という不測の事態は想定している人は少ないです。

 

スポーツでは、練習で鍛えた「技」「体」を本番で発揮するために、鍛えた「心」が必要になります。

 

他の業界も同じで、心が弱ったり壊れたりすると、

どれだけ鍛えた体も技術も使い物にならなくなってしまいます。

 

本当に人は叱られて伸びるのか?

「叱らて伸びる人間もいる!」

と、教育側の人はよく言います。

 

しかし「伸びる人」は叱っても叱らなくても伸びます。

それに加えて伸び悩んでる人は、叱られることで成長が止まってしまいます。

 

一流選手を育てるコツは、幼少時代から「練習は楽しいこと」と思わせること。

そういう指導者の話を聞いたことがあります。

 

一流の教育者ほどよく褒めるのです。

叱ることに意味はない

部下、後輩のミスを叱ったらどうなるか?

  1. 萎縮したり不要な苦手意識を持つようになる。
  2. すると苦手なことをする度に叱られたことが蘇り、「失敗するイメージ」が根付くようになる。
  3. 失敗しないようにと意識するあまり、体は本来通り動かず、 今までできていた事ができなってしまう。
  4. するとさらに苦手意識を持ってしまうという悪循環になる

(漫画本編から抜粋)

このように叱ることはマイナス要素だらけなのです。

だからこそ褒めるということが大事なのです。

人はなぜ叱るのか

漫画中で、今まで選手のミスを叱っていた女性監督に対し、メンタルコーチが問いかけるシーンがあります。

コーチ
コーチ
ミスをしたことは自分も周りも見ればわかる。なのにわざわざ口に出して叱るのは何故でしょうか?

監督
監督
何も考えずリズムで言ってた・・・

いえ、心のどこかでミスを叱るのが楽しかったんだと思います

コーチ
コーチ
そうですか・・・

監督
監督
でも褒めていいんですね!私褒め言葉ならいくらでもでできます!

コーチ
コーチ

それは一流の指導者の証拠です!一流の指導者はポジティブで人の良いところを見つけるのがうまい。

レベルの低い指導者ほどネガティブなことを言うんです。

 

 叱られ続けて育った場合と、褒められ続けて育った場合で同じ性格になるだろうか?

と作中にあるように、人の性格は教育や指導で変わります。

 

私はなんでもかんでも「無意味に褒めていれば良い」とは思っていませんが、

「無意味に叱ることは悪い」とは思っています。

アニメ現場の教育

アニメ作りの現場では、未熟な者に対しての無意味な叱り、罵倒、暴言がたいへん多かったです。

教育という概念はなく、未熟な技術への怒りをぶつけているだけなのです。

 

もし、ミスを叱り飛ばすことを「指導」「教育」だと思っている人が近くにいる場合は、

そんな人の言う事を真に受けなくていいし、信頼してはいけません。

 

褒めるべきことと叱るべきことをちゃんと見極めている指導者こそ、

信頼に値するのです。

 

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bebe
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元アニメーターの経験を元に『アニメーターになる前に知っておくべきこと』を伝えます。