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「死ぬ気でやれよ、死なないから」という言葉について

私の友人は夢の為に死ぬ気で働き、アニメ会社に心を壊されうつ病になって退職し、アニメーターとして働けなくなりました。

この記事は「死ぬ気頑張れと言う指導者」「目的の為には死ぬ気で頑張らなきゃと思っている人」に向けてのメッセージです。

死ぬ気で頑張ると、人は死ぬ

「死ぬ気でやれよ、死なないから」

誰かの名言らしいのですが、この言葉は言われた人の人生に多大な悪影響を与えます。

 

この言葉の「重さ」と「意味」を説明します。

本来は「やる気の無い人」への言葉

そもそもこれは全ての人に向けた言葉ではありません。

やる気の無い人、努力の足りない人の心を奮い立てるのが、この言葉の目的です。

やる気のある人へ向けた言葉ではないのです。

 

やる気の無い人はそもそも頑張っていないので、

「ちょっとやり過ぎかな?」「こんなに頑張ったら死んでしまう」ってくらい頑張ってちょうどいい。

『死ぬ気でやっても死なない』という言葉は本来そういう解釈なのです。

やる気のある人の為の言葉じゃない

しかし、これを「やる気のある人」も真に受けてしまうと、とても危険なことになります。

自覚のある、無いの差はありますが、やる気のある人は元々死ぬ気で頑張っているからです。

 

実際にコレを職場の上司に言われた、私の友人を例として説明します。

実際に言われた人

これは当時アニメーターだった友人の話です。

友人は向上心も行動力も高く、「自分の作りたいアニメがかるから、アニメ監督になる!」という夢を持ち、まずはアニメーターとしての技術を高める為に日々努力していました。

そんな時、友人は会社の上司から『頑張りが足りない!もっと死ぬ気で頑張ってみろ、死なないから』と言われました。

 

友人はとてもショックを受けました。

「自分は頑張ってる。

思いつく限りの勉強をし、時間の許す限りを仕事に費やしている。

それなのに上司はもっと頑張れと言う。

しかし実際に思ったような結果が出ない。

まだこれでも足りないのか?」

そんな考えにとらわれ、さらに自分を追い込んだ努力を続けてしまい、うつ病になりました。

 

うつ病を伝えても、会社や上司は「甘えている、努力が足りない」と言ってきます。

結果、仕事ができない精神状態になってしまい退職しました。

 

その後、友人は何度がアニメの仕事をしようと試みましたが、そのたびに吐き気などの体調不良を起こすようになり、アニメの仕事は出来ない体になってしまいました。

アニメを作ることを人生の目標にしていて、その修練だけを考えていた友人は、もう今ではアニメは作れず、「自分の作りたい作品が何だったのか」も思い出せなくなりました。

 

死ぬ気で頑張った結果、心が殺され、体は動かなくなったのです。

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指導者は気を付けて発言する

「言葉」は人の「感情」に影響を与え、

「感情」は人の「精神」に影響を与えます。

だからこそ指導者は自分が発する「言葉」に気を付けなければなりません。

 

指導者という立場は、本来技術を教えるだけの存在ではありません。

しかし、アニメーターなどの「絵」という分野には、技術を教えてくれる指導者はいても、

メンタルについて考えている指導者はなかなかいません。

 

絵の業界において、絵の上手い人が指導者になるのは仕方ありません。

しかし、指導を行ける側は絵の上手い人の精神論を真に受けないでください。

技術を学びたい相手からは技術論だけ聞き入れましょう。

 

もし技術を教える立場の人間が精神論だけを言ってこない場合、その論には何の価値もありません。

精神論で指導する技術者

『死ぬほど頑張っても死なない』なんて言葉を指導の場で吐ける人というのはどんな人か?

 

①「死ぬほど頑張ったけど、自分は死ななかったし、その努力のおかげで今の自分の能力が手に入った」と思っている。

②自分自身がサボりやすい性格なので、自戒の念を込めて自分に言い聞かせていた。

③死ぬほど頑張った事が無い。

 

のいずれかだと思います。

 

『死ぬほど頑張って死んだ人』の言葉は聞けません。

生き残った人の言葉だけが言い伝えられます。

 

その人が頑丈だったか、偶然か、なんらかの理由で「たまたま」死ななかった。

そんな人の精神論は「成功、生存」を前提に語られます。

「失敗、死亡」を想定に入れてない人が多いのです。

精神論を言う人へ

当たり前ですが、「精神論」自体が悪いわけではありません。

精神論を言う人と、聞く人が、互いに「これは技術論じゃなくて精神論である」と把握しあっている状態が必要なのです。

 

なので言う側は、言う相手や場所を選ぶ必要があります。

指導者という立場であれば、「自分の発言が新人たちの指標になる」という自覚を持ってほしいのです。

精神論を言われた人へ

死ぬほど頑張れ、死なないから

本気で努力すれば、必ず成功する

強く願った夢は必ず叶う

こういったことを言う指導者は多いですが、

これらを言うのは「なぜ自分が成功したのか?」を理論的に理解していない人たちです。

 

つまりは「絵は上手いけど頭が悪い人たち」なので、「こういった事を言って来たら信用できないな」という基準にできます。

 

学校、会社などでこの手の事を言っていたら信用しないでください。

「頑張り」というものは見返りが必ずあるものではありません。

「頑張らない」よりも成功率を上げる方法でしかないのです。

それを「見返りがある」と断定する人は、自分の体験談しか知らないか、何も考えていないかです。

最後に

死ぬ気で頑張ると、死にます。

忘れないでください。

 

私の友人は体は生きていますが、心を殺されました。

心が死ぬと、体が動かなくなります。

 

努力で人は死にます。

努力は「美徳」だと考えられがちですが、努力はあくまで「手段」です。

今後、努力が必要な人たちには、「死ぬような手段」を選択しないことを願っています。

 

死ぬ気で頑張るよりも、死なないように頑張ってください。

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元アニメーターの経験を元に『アニメーターになる前に知っておくべきこと』を伝えます。