アニメ業界

原画マンの仕事内容の悪化

私は10年アニメーターとして働き、

その中で原画マンの仕事内容が年々悪化していくのを感じました。

その内容と対策をまとめました。

 

設定が出ない

原画マンは作打ち(作画の打合せ)が終わってから作業に入りますが、

ここでキャラクターや小物、背景などの設定がないと作業ができません。

 

アニメは分業化された仕事なので、

作業する人たちがそれぞれ情報を共有する必要があります。

そのためにも「設定」が重要で、この設定通りに原画マンたちは作業します。

 

この設定が打合せ前に渡されているのが理想ですが、

徐々に渡されるタイミングが遅くなっていき、打合せ当日に渡されることが多くなりました。

 

これは作業する直前まで、どんな絵を描くのかわからないということになります。

場合によっては打合せの段階で設定が無い事もあります。

 

設定の無いまま作業するということは、原画マンによってバラバラの絵を描くことになるのです。

結果的に作画監督が絵を合わせることになり、作画監督の作業量が増えてしまいます。

 

作業量を分散させる為と、作業を効率的にする為の分業化なのにもかかわらず、

作業量は偏り非効率的になってしまっています。

 

アニメ業界はこのような矛盾が多いです。

 

タイムシート記入欄の減少

タイムシートはまず原画マンが書きます。

どんなタイミングでキャラに芝居をさせ、セリフを喋らせ、どのくらい間をとり、どうやって次のカットにつなげるか。

それを考えてタイムシートを書くのが原画マンの仕事の一つであり、

私がこの仕事の好きな部分でもありました。

 

しかしスケジュールの遅れが年々大きくなっていき、

声優のアフレコが先に行われ、

キャラの足音や物音も先に録音されるようになっていきました。

 

そうなるとタイムシートのキャラや物の動くタイミングはすでに決まっており、

原画マンは手出し出来なくなります。

 

これでは言われた通りの素材を用意するだけの存在になってしまい、

原画マンから創造性が失われてしまいます。

 

3Dレイアウトの登場

原画マンは背景原図と呼ばれるものを描きます。

背景の元になるものなのですが、これを3Dで作ることが増えました。

これを上手く運用できれば、

3Dであればパースが崩れることもなく、他のカットとの整合性もとれます。

 

作品によってはキャラ部分も3Dで参考が入っていたりします。

主に動きが複雑な動き(ダンス、スポーツなど)のアニメ作品に多いです。

有名な作品だと、ラブライブ、アイドルマスターなどがそうでした。

 

「これは悪いことではないのでは?」という意見もあると思います。

私も悪いとは一概に言えません。

しかしこれはアニメの表現技法としては良いですが、

原画マンとしての立場からは問題があるように見えます。

 

背景を描く必要がなくなり、キャラの位置やバランス、動きまで指定されてしまうと、

いよいよ原画マンはすることがなくなります。

 

このままでは3D アニメをクリンナップしてるだけになってしまい、

原画マンは芝居に関して何も考えなくなってしまうのではないか?

という不安があります。

 

原因はスケジュール

3Dレイアウトの件は少し違いますが、

原画マン、ひいてはアニメ業界の問題のほとんどはスケジュールの悪さに原因があります。

 

もともと酷いスケジュールで作業をしていることも問題ですが、

それに加えてアニメーターの「スケジュールを守ることへの意識の低さ」が

より問題を深刻化させています。

 

アニメ業界は他業界に比べて圧倒的にスケジュールを度外視します。

これが改善されない限り、どんなに技術面が進歩してもアニメ業界は発展しません。

 

だからこそ、アニメーターの一人一人がスケジュールを重要視しなければ、

この業界は変われないと私は思います。

 

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元アニメーターの経験を元に『アニメーターになる前に知っておくべきこと』を伝えます。