アニメに限らず、ものには発展と衰退があります。
どんなものが発展し、そしてどんなものが衰退していくのか考えました。
アニメ業界は誰が支えているのか?
有名なアニメ監督か?
人気アニメスタジオか?
超一流アニメーターか?
様々な考えがあると思いますが私の考えは、
「たくさんの業界志望者の存在が、その業界を支えている」です。
私はアニメーターだったのでアニメーターに関して言いますが、
高い技術や地位をもっている人はそんなにいません。
どの業界でも一流の職人の数は少なく、それを目指す未熟な人の方が数は多いです。
そして「一流ではないけれどそこそこ高い技術」を持っている人ほど、
「自分たち(作画の上手い人間)がアニメーター(アニメ業界)を支えている」と思いがちです。
なので下手な人間を軽視し「下手なやつは辞めろ。それが業界の為だ」と言ったりします。
作画の上手い人たちはアニメーター界を支えているのではありません。
作画の上手い人はアニメーター界を引っ張っているのです。
そこを勘違いしていると、
作画の上手い人は「自分たちのおかげでこの業界は成り立っていて、下手な人間のせいで足を引っ張られている」と考え、
作画の未熟な人は「自分たちが足を引っ張ってる。業界のために辞めるべきでは?」と考えてしまいます。
ではアニメーター界を支えているのは?
たくさんのアニメーター志望者や、たくさんのまだ未熟なアニメーターです。
その人たち無くして、今のアニメ人気はありえません。
アニメが存在できる理由
これは私の持論ですが、
アニメは娯楽であり、興行です。
娯楽や興行は、世の中に多くの業界志望者と、多くの消費者がいないと成り立ちません。
そして多くのアニメファンが「アニメが大好きで、アニメを見たい!」と思ってくれてるからこそ、
アニメに価値が生まれるのです。
アニメーターに置き換えても同じです。
たくさんの人が「アニメーターになりたい!」と思うから、「アニメーターという存在」に価値が生まれるのです。
もしたくさんの下手なアニメーターがいなくなったら
考えてみましょう。
世の中のアニメを上手いアニメーターだけで作ったら・・・
作画の質はものすごく上がるでしょう。
しかし、「上手いアニメーター」は人数が少なく、
「下手な原画、動画、海外の人材」もいないので、
作業期間は今よりもずっとかかりアニメ作品の本数が減ります。
テレビアニメは年に1作品、月に1話。
劇場アニメは5年に1つ。なんてことになるかもしれません。
そんなことになってしまえば、アニメ業界はほどなくして衰退します。
アニメ業界の発展に必要なこと
以上のことから考えると、アニメ業界やアニメーターが発展していくために必要なことは
「下手な人を辞めさせる」ではあり得ません。
本当に必要なのは、アニメーターになりたい人や現役アニメーター、そして絵を描きたい人たちへの正しい教育です。
あらゆる「プロ」の業界にはプロの指導者、コーチ、トレーナーがいますが、
アニメ業界は、プロスポーツで言うと現役の選手が兼任しているような状態です。
技術の高い人が指導も上手いとは限らないのに。
だからこそアニメ現場に、専属の指導者がいるべきだと思います。
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アニメーターのための教育とは?
現役のアニメーターへの教育はとても大事なのですが、
現場が望んでいるのは即戦力であり、業界入りしても壊れるまで使い、
壊れてしまったら辞めろと言い、奇跡的に壊れなかった人だけ生き残る。
これでは人は育たず、そんな現場で働きたいと思う業界希望者はいなくなっていきます。
だからこそ未来のアニメーターのために、
アニメーターになりたい人たちには絵を描く楽しさを伝える教育を、
今アニメーターをやっている人には絵を描く技術を伝える教育が必要なのです。
それができれば、アニメ業界の未来はもう少し明るくなるのではないでしょうか。
数人の天才で引っ張るだけの業界は、その人たちの寿命とともに消えてしまいます。
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