アニメ業界

アニメ業界は連携がとれていない

アニメは年々劣化しているのか?

しているとしたら何故なのか?

その理由を考えたので説明します。

 

先日、「アニメの脚本、演出が劣化しているのは何故か?」という質問をツイッターで受けました。

そもそもアニメは劣化しているのか?劣化とは何を指すのか?

そのあたりが明白にならないと答えようがありません。

その定義については⇩の記事で書きました。

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アニメは劣化しているのか?

脚本、演出について

まずアニメの脚本は年々劣化していっているのか?という点に関してですが、

私個人の感想でいうと、たしかに「面白い」と思える作品は年々減っています。

しかし、それは「思い出補正」がかかっているのではないか?とも思います。

実際に古い作品を見ると、素晴らしいと思うものもあれば、

「ちょっとコレはひどい」と思うものもあります。

 

当たり前のことになりますが、

「昔に悪いアニメもあれば、今も素晴らしいものはある」

というのが私の意見です。

作画について

少なくとも作画は過去に比べて下がった

という意見もありますが、

過去のアニメを作画を見ても、やはりひどいものはちゃんとあります。

一方で非常に技術の高い作画もあります。

以前からアニメーターの画力格差は激しかったのです。

 

変わったことは、「アニメーターの画力が下がった」のではなく、

「画力の低いアニメーターの比率が上がった」事だと思います。

今回は作画の話ではないのでこの点については別記事をまた書きます。

アニメの質が下がる原因

おそらく質問者さんが聞きたかったことは、

「アニメーターだったからこそ解る、アニメの質が下がる原因」

それがあれば教えてほしいと、いうことだったのだと認識しています。

 

なので個人的見解になりますが、

「アニメ業界内の問題」が原因でアニメ作品の質が下がる理由を考えます。

大きな原因はアニメ制作においての「連携の取れてなさ」です。

アニメ業界内の連携のなさ

アニメ業界は分業化されているため、たくさんの部署があります。

なので様々な連携が発生します。

それは例えば、以下のようなものがあります。

(私は作画の人間だったので、作画を中心としたものばかりを例えに出しています。)

原作者とアニメ会社の連携、演出と作画の連携、背景と作画の連携、

仕上げと作画の連携、撮影と作画の連携、制作進行と作画の連携、声優と作画の連携。

そして、作画と作画の連携です。

これらの連携がなされている会社、作品は現場の環境が良いと言えます。

(悲しいですが良い「作品」になるとは限りません)

 

ただ、この連携がとれていないとほぼ間違いなく作品の質は下がります。

お互いの作業工程や、それに対する考えを共有できない結果、

作業上のミスやリテイクが増え、互いの部署を憎みあい、作業効率は下がり、それが作品の出来に繋がり、その出来を観てさらにスタッフの士気が下がります。

こんなものを作るために、こんなにも苦しんで働かなければならないのか

そういう発想に繋がってしまうのです。

 

そしてスタッフのその発想、気持ちが作品作りに影響し、

さらなるアニメの品質低下に繋がっていきます。

作業者が多すぎて作家性が薄まっていく

そもそも従来のアニメ作品で高く評価されてきたものは、

大抵は1人の天才(と言われる)作家の作家性が大きく反映しているものである。

という傾向があると私は思っています。

 

1人の作家に自由に作らせた場合、良くも悪くも作家性が強く出ます。

参加スタッフが多いほど、作家性は薄まります。

 

それは例えるなら、会議などでの発言者が多いほど議論がまとまらないことにも似ていますし、

そうして多くの意見を取り入れた折衷案にまったく魅力が無いことにも通じます。

 

作家次第、環境次第、運次第ではありますが、

団体作業、とりわけ創作作業は少数精鋭こそ本領を発揮します。

とくに脚本、演出面はなおさらです。

 

逆に参加人数が多いほど、作家性は薄れていき、魅力の無い作品になりがちです。

 

アニメは他の絵を描く仕事や、創作する仕事の中では異例なほど大人数で1つの作品を作ります。

そのおかげで独自のコンテンツに発展したという半面、

創作における大事な部分「作家性」が分散し、薄まるというデメリットも生まれてしまうのです。

最後に

アニメ作りはその環境、待遇、システムのせいでクリエイターにとってあらゆる不利な部分があります。

ちょっとしたミスやズレがその後の工程に影響を与え、最終的な作品の出来に影響を及ぼします。

 

特に、良いものを大勢で作る場合、個々の能力の高さよりも「連携」こそが重要だと私は思っています。

積極的に他部署と連絡をとりあい、情報を交換することが大事です。

 

実際にはそんな機会は少なく、そんな時間や余裕もないので難しい。

というのが現状のアニメ業界です。

 

「会社や作品を変えよう」というのは1人のスタッフには難しいことです。

なのであくまで「自分が有意義に仕事をできるようにするため」という感覚でいいのです。

自分のために、他部署と連携をとれる範囲でとってみましょう。

 

仕事効率を下げる要因の一つが「わからない」ということです。

自分の作業の前工程や後工程を「知る」ことで、自分の仕事が楽になります。

もし他部署の人と話せる機会があったら、いろいろ質問してみると今まで「わからなかった」疑問が無くなり、心の負担が減り、仕事への負担もまた少なくなります。

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元アニメーターの経験を元に『アニメーターになる前に知っておくべきこと』を伝えます。