アニメーターという職業において、お金の問題は切り離せません。
収入が低いからこそ、収入について詳しく考え、知る必要があるのです。
その中で「貯金はいくらあれば大丈夫なのか?」という問題についてまとめました。
自分がいくら稼げるのかを知る
「アニメーターを目指すならば親の支援か、貯金が必要だ」
とよく言われます。
貯金が必要と言われるのは、ほとんどの場合収入だけでは生活できない期間があるからです。
なので「貯金がいくら必要か?」を知るためには、
まず「いくら稼げるのか」を知る必要があります。
そのためにはアニメーターの仕事をシミュレート(模擬的に体験)します。
その方法については別記事で詳しく書いてあるのでこちらを参考にしてください。↓

生活費はいくらかかるのかを知る
次に「自分が生活するのに月いくらかかるか」というデータが必要です。
これは業界トップレベルの実力がない限り、画力より大事なことですので厳密に計算してください。
自分にとって必要なものであれば、娯楽などの遊びの費用も忘れずに足してください。
とってもめんどくさい事ですが、収入が少ない人はこれが解っていないと一気に生活が破綻します。
私がアニメーターになり、東京で一人暮らしをした時に必要な生活費をまとめた記事がありますので、
そちらを参考にしてみて下さい。
収入-生活費=貯金額
想定した自分の稼ぎから生活費を引き、足りない部分を補う。
それがアニメーターに必要と言われる貯金です。
入社したばかりのアニメーターの収入は、生活費に届かないことがよくあります。
親などからの支援が無い場合、そのために貯金が必要になるのです。
なのでシミュレートした収入と、計算した生活費の差額分が、『あなたにとっての必要な貯金額』の目安になります。
当たり前のように「収入が生活費に届かない」と言いましたが、これは職業としては「異常なこと」です。
そのことはしっかり覚えていてください。
長くアニメーターをやっていると、これが「普通のこと」だと感じ始め、
次第に「仕方のない事」だと思うようになります。
アニメーターとしては現状仕方がないかもしれませんが、
いち社会人として、生活できないような賃金の社会を受け入れてはいけません。
どうかこのことだけは決して忘れないでください。
貯金額は引き際で決まる
今までの計算は、あくまで1か月に必要な貯金額を割り出すためのものです。
しかしアニメーターの赤字生活は普通は1か月では終わりません。
「アニメーターになる為に必要な貯金額を決める」という事は、
「いつまで赤字生活を受け入れるかを決める」ということです。
もちろん貯金額が多いほど赤字でいられる猶予が伸びるので、貯金は多いにこしたことはありません。
しかしこれは「貯金がなくなるまで収入が少なくても構わない」という甘えに繋がりかねません。
かといって貯金が少ないと「一刻もはやく収入を増やさないと生活出来ない」心への負担は計り知れません。
重要なのは貯金額の大小ではなく、
自分に必要な貯金額を把握し、その金額を持っていることです。
「○年までに生活費も稼げないようならば辞める」
という自分の引き際を考えておくことが大事になります。
アニメーターは特にそうですが、人は締め切りが無いと問題を先送りにしがちです。
なのでアニメーターという職業自体に、締め切りをつけることも大切なことだと思います。
最後に
アニメーターの収入は体と心を酷使してさえいれば、かろうじて生活できてしまいます。
それゆえに無計画に働き続けてしまうと、
仕事に追われて10年、20年はあっというまに過ぎます。
そして30歳、40歳になったときに、
いよいよ貯金が無くなり生活費が稼げないという事態もありえます。
実際に私は貯金を切り崩しながらアニメーター生活をしていましたが、
ジワジワと貯金は減っていき、30代でついに貯金が底をつきました。
その後は仕事量を増やしてなんとか生活していましたが、
このような失敗をこれからアニメーターになる人には味わって欲しくありません。
今アニメーターを目指し、お金に不安のある人は、
「何がなんでも続ける!」という根性論だけでなく、
「状況に応じて一旦辞める」という柔軟性をもって欲しいのです。
辞めることを「負け」「逃げ」と敬遠せず冷静に向き合ってください。