現役アニメーター向け

なぜアニメーターは反乱を起こさないのか?

アニメーターは過酷な労働環境で、収入は低く、離職率がもの凄く高い仕事です。

そんな劣悪な環境下でありながら、アニメーターは待遇に文句は言っても、戦おう、抗おうとまではしません。

その理由を考えました。

今回の記事内容はインベスターZという漫画を読んだことがきっかけになっています。

インベスターZ』は、三田紀房による日本の漫画。『モーニング』(講談社)にて2013年28号から2017年29号まで連載。投資をテーマにした作品で、実在の人物や、『エンゼルバンク-ドラゴン桜外伝-』や『マネーの拳』の登場人物も登場する。

ウィキペディアより

 

中学1年生から高校3年生の各学力主席(男子高校生)6人が、

投資をすることで巨額なお金を動かし、そのお金で学園を運営する。

という内容です。

 

投資の漫画ではありますが、お金の話だけでなく、

世間では決して教えて貰えない人生に有益な情報をたくさん学べます。

個人的に凄くオススメの本です。

「貧しさ」が反乱を生ませない

漫画「インベスターZ」の5巻で、

国民の反乱を恐れた徳川家康が、

「反乱の起きない国家」を作る秘訣を考えるシーンがあります。

 

そこで語られた方法とは、

「民をわずかに貧しい状態でキープさせる」

というものでした。

 

幕府以外にはなるべくお金を待たせないようにしたのです。

そのかわり武士には「偉い役職であるというプライド」を与え、

平民には「つつましい生活ほど美しいのだ、という情報操作」をしたのです。

唯一お金を持つ商人は「汚れた金を扱う卑しい職として、低い身分」を与えました。

 

貧しいからこそ、余計な事(反乱など)を考える暇が無く、

日々あくせく働かなければならない。

そして必死に働けば、かろうじて生きていける程度の貧しさなので、

「稼ぎが悪いのは国のせいではなく、自分の働きが足りないからだ」

と思うようになるのです。

 

結果的に武士は誇りだけが心の支えとなります。

 

このシステムを使うことにより、江戸幕府は300年も続いた・・・

というのが漫画内で語られた内容になります。

誇りだけで働くアニメーターたち

これはそのまま今の社会、ひいてはアニメ業界にあてはまると思うのです。

 

アニメーターは上記の内容でいう所の平民、武士にあたり、

必死に働いてかろうじて生活できる賃金を与え、

キャリアに関係なくそこそこ貧しい状態をキープされています。

 

アニメーターという職業に対し、

「低収入ながらも超画力を持つものたちが集まる場所」

というイメージだけがアニメファンやアニメーター志望者に伝わり、

「業界の待遇が悪いのにもかかわらず、死を恐れず戦う悲劇の精鋭集団」という

同情、尊敬の目で見られます。

 

新人アニメーターには

「お金を顧みず技術の向上にひたむきな姿勢こそ美しいという洗脳」

がされています。

 

「稼げないのは業界のせいではなく自分の技術力不足だ」

と、怒りや疑問を表に出せなくなるのです。

 

もし文句を言おうものなら、

「未熟者が文句を言うな!技術を付けてから言え!」

と言われてしまいます。

 

そしてベテランのアニメーターたちには、

「お金よりも、技術や夢、やりがいのために働いている健気な自分への自己陶酔」

「絵描きからの羨望の眼差しを受ける役職であるという、幻想のプライド」

を与えられます。

 

つらいけれどギリギリ生きてはいけるし、

自分の腕1本で生きているプライドや自己満足感があるのでまんざらでもないのです。

 

そしてベテランの人たちが生き残ってしまっているからこそ、

「業界が悪い!」という意見は満場一致になりません。

奇跡的に高い技術と体力と精神力を備えた人がたまたま生き残り、

「若者よ、私は大丈夫だった。君たちももっと頑張れ!」と言ってるだけなのに。

 

そして、そのわずかな前例がいることで、お金を払う側の人間は

「ほら、あの人たちはなんとかなっている」

という言い訳を通してきます。

 

アニメ業界は反乱しないのではなく「できない」

アニメーターは反乱は起こしません。

というより起こせません。

 

苦しさや貧しさというもの自体に対して「戦っている」という満足感を感じてしまっていたり、

「好きなことを仕事にしているから未熟者は文句を言ってはいけない」と思い込んだり、

貧しさゆえに思考力を奪われていたりするのです。

 

こうなっては、反乱を起こすという発想に至れません。

そもそも「考える」という余力が無いのです。

 

一方で、描かせる側、お金を払う側の人間からすると管理しやすくなります。

お金を与えないだけで、それに各々が勝手に「自分を納得させる理由」をつけて必死に働くからです。

 

ここで1番危険なのは、

アニメーターたちがこの現状やシステムに気づいていない場合です。

 

もしこれに気付いてさえいれば、「交渉」「副業」「休職」「転職」「辞職」など

いくらでも対処法があります。

アニメーターにできる個人的で現実的な「反乱」とはこのあたりを指すと思います。

何もアニメ業界全体が同時に反乱する必要はありません。

個人一人一人が、業界のおかしさに気づき、考え、行動してほしいのです。

反乱するも良し、しないも良し。ただ気付いてほしい。

 

この洗脳から抜け出せないと、

絵が描けなくなる時が来るまで、苦しみに縛られたまま働くことになります。

最後に

もちろんアニメーターの中には、現状の問題を理解したうえで、

確たる考えと人生の計画性を持って働いている人もいます。

 

ですので、この記事はそれを考えていなかった人や、

知らなかった人向けのものです。

 

今では「苦しく貧しくとも耐えて働くことが美徳だ」という考えは変わり、

「それは間違っている」という考えが共感され、広まりつつあります。

 

だからこそ古い前時代的な考えに惑わされず、

様々な価値観から物事を考えて、自分の人生を大事にしてあげて欲しいのです。

 

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bebe
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元アニメーターの経験を元に『アニメーターになる前に知っておくべきこと』を伝えます。