業界や会社の話

自分の子供が「アニメーターになりたい」と言ったら

自分の子供が「アニメーターになりたい!」と言い出したらどうするか?

という質問に対して、私なりの答えをまとめました。

アニメーターという仕事が「経済面、労働環境面が劣悪である」ということは、

今では多くの人に知られています。

 

なのでアニメーター志望者の親は、

「そんな職業に就いて欲しくない」と思うかもしれません。

 

アニメーターはその稼ぎだけでは、まともな生活ができないほどの低収入です。

なので親の理解や経済援助があることは大きなメリットになります。

 

実際に「親に反対されアニメーターになれなかった」

と言うアニメーター志望者の意見も聞いたことがあります。

 

しかし、就職となれば20歳前後のはず。

「そんな歳の人間の行動に、自分の子供とはいえ口を出すべきかどうか?」

という疑問もあります。

 

なので、「口出ししない理由」、「止める理由」

の2パターンに分けて話していこうと思います。

子供のやることに口出ししない理由

「やりたいことがある」ことの貴重さ

「やりたいことがある」という気持ち。

この気持ちは当たり前に皆が持っていると思われがちですが、

「仕事」に対してもこの「やりたい」という気持ちがあることは

とても大切で、貴重なことです。

 

どんな職業でも働き始めると、「やらなければならないこと」に追われてしまい、

「やりたいこと」を忘れてしまったり、考える暇がなかったりします。

 

なので

「子供がやりたがる事は片っ端からチャレンジさせ、

助けが必要なときだけ助けてあげる」

というのが良いと思います。

もちろん各家庭の事情や経済力の範囲内で。

親は子供の道を決める存在じゃない

世の中の家庭は様々な形があり、正解なんてありません。

なので私の持論になりますが、

親というのはあくまで「保護者」であり、

「子供の道を勝手に導く存在」じゃない

というのが私の考えです。

 

子供の歩く道をコントロールしようとする親はとても多いです。

しかし「危ないから」と子供の足を止めたり、

「こっちのほうが安全だよ」と手を引っ張るのは、

小さな子供の頃だけで良いと思います。

 

子供が横に逸れて崖から落ちそうになった時に初めて、

支えたり引き上げてあげればいいのではないでしょうか。

それが保護者の役目だと私は思います。

 

歳をとったり、自分が親になることで、

自分が子供だった頃の気持ちを忘れてしまうかもしれませんが、

「自分が子供だった頃に、親にどうして欲しかったか?」

ということをそのまま自分の子供にしてあげたらいいのではないでしょうか。

「アニメーターになるしかない人」の存在 

絵を本格的に描いたことの無い親御さんにとって、

我が子のアニメーター適正が気になると思います。

 

才能が無いなら専門性のある分野には進ませたくない

そんな風に考えるのではないでしょうか。

 

そんな時に参考になるのが

「アニメーターに向いている人」の見分け方です。

世の中には「アニメーターになるしかない人間」が稀にいます。

この見分け方は簡単で、常に絵を描き、アニメを作り続けていて、

それを至上の喜びにしている人です。

 

アニメを作り、それを楽しみ続けられる人は滅多にいません。

立派で、貴重な才能です。

 

絵を描くこと、アニメを作ることは、

世の中では未だに「遊びの延長」と認識されています。

しかし、実際にやればわかりますが「絵を描く」ということを続けていれば、

ほとんどの場合は苦しみ、葛藤を伴います。

 

そんな中ごく稀に、描けば描くほどに幸せになっていく人がいます。

むしろ描かずにいる方が苦しいというタイプです。

 

アニメーターは「半端な体力、精神、画力、では生きていけない仕事」なので、

「アニメーターをやっていないと(絵を描かないと)生きていけない」

という人にとっては適職です。

逆に言えばそれ以外の人は向いていないとも言えます。

アニメーターになることを止める理由

体と心を壊す職業

上記でさんざん「子供の意見を尊重しよう」という内容を話しましたが、

私個人の本心としては、「可能な限りアニメーターは勧めたくない」

と思っています。

 

特に親しい人ほど近づかせたくない業界です。

前述した「アニメーターに向いている人」以外は、

間違いなく体と精神に深刻なダメージを受けます。

 

「アニメーターに向いている人」つまり

「アニメ作りをしている時が1番幸せな人」は滅多にいません。

現状のアニメーターの1割もいないと思います。

 

ということは、

「アニメーターになったら、

9割以上の人が体と心を壊す可能性が非常に高い」

ということになります。

 

これは「アニメーターの低賃金問題が解決する」

「アニメ業界内の悪いシステム、風習が無くなる」

ということが起こらないと改善されません。

 

現状ではその見通しは全く立たないので改善は期待できません。

「上手いか」よりも「考えているか」が大切 

絵が上手ければアニメーターになれ、成功するとは限りません。

大切なのは「どれだけ絵が上手いか」よりも、

「どれだけ本気で計画しているのか」です。

絵の世界で後先考えずに生きていけるのは、

画力で悩む必要が無いほどの高い実力の人か、

よほど運の良い人だけです。

 

能力が高くても辞めていく人もいれば、

能力が低くてもある程度働けてしまうのがアニメーターです。

なので「上手いから大丈夫、下手だから無理」というわけではないのです。

 

アニメーターに最低限の絵の上手さは必要ですが、

「上手さ」にとらわれ過ぎたらたらロクなことがありません。

アニメーターで本当に上手い人は、常軌を逸したレベルで上手く、

どれだけ上を目指して上達してもさらに上がいます。

 

なので、絵描きが「上手さ」にとらわれてしまうと

なかなか自分の実力に満足できず、

心が病んでしまうのです。

 

なので「上手くなりたい」をアニメーターの仕事に求めるのは危険です。

「上手くなって何がしたいのか?」が明確であることが、安全策として最低限必要です。

アニメーターになって何をしたいのか

アニメーターになるだけなら比較的簡単なので、

考えるべきは「アニメーターになって何をしたいのか」を考えることです。

 

アニメーターに限らず、

大事なのは「なりたい役職や職業」ではなく、

その職業で「何をしたいのか?」です。

それを考えたとき、実は「アニメーターである必要がない」

という事が見えてくることもあります。

 

また、アニメーターになれなかったり、

なれても欲しかったものが得られなかった場合はどうするのか?

そういった先のことも見据えて計画を練ることが自衛に繋がります。

 

なので親の立場としては、

・何故アニメーターになりたいのか?

・アニメーターになって何をしたいのか?

・アニメーターになれなかったらどうするのか?

・アニメーターになれても現場が想像と違ったらどうするのか?

子供がそれらを考えていないなら、しっかり考え直すように諭します。

オススメの方法

私個人の意見をまとめると、

私が親の立場なら基本的にアニメーターは子供には勧めません。

しかし、子供にしっかりとした計画性があり、

アニメを作らずにはいられない性分ならば止められません。

 

どうしてもアニメを作りたいならば、

①ちゃんと教育がなされるアニメ会社で5~10年ほど働く。

②アニメ作りの技術と知識を学んだ後に辞める。

③転職し、収入を得ながら空き時間でアニメ制作をする。

という方法を勧めます。

可能であれば、環境や条件の良い海外のアニメ会社で働くという選択もあります。

 

今はプロと同じ機材が個人でも買え、

技術とお金と時間があれば、

商業作品と同じクオリティの作品を個人でも作れます。

 

なので必ずしも劣悪な環境であるアニメ会社に入り、

苦しみながらアニメを作る必要は無い、

ということも知っておいて欲しいです。

最後に

日本のアニメ会社は、システムや倫理が崩壊していますが、

「アニメそのもの」や「アニメ作り」は本来楽しく、素晴らしいものです。

 

なのでアニメ作りが好きならば、

その好きという感情を大切にして欲しいのです。

 

そのためにもアニメ業界の実情を理解し、

そのうえで良い部分は利用し、悪い部分は避ける方法をとってみてください。

 

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bebe
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元アニメーターの経験を元に『アニメーターになる前に知っておくべきこと』を伝えます。